『諸国空想料理店』高山なおみ
料理家・高山なおみさんのエッセイ集。
東京の西、吉祥寺のはずれにある「諸国空想料理店KuuKuu」でのシェフ時代、お店でのパーティーや日々の出来事、世界を旅しながら食べた料理のエピソードが軽快に語られます。ペルーの街角で、汽車の中でかいだ強烈な臭い、インディオのおばあちゃんのはだしの足、甘すぎるケーキ、車のクラクション…あんなこともこんなこともあったはずなのに、記憶を言葉にできない。
忘れてしまったのか、実は旅になんか行ってないんじゃないかと思っていたら、料理の匂いで不意に記憶が蘇ってきて…ペルーやベトナム、インド、フィリピン、”感じることがいっぱいあって忙しくて仕方ない”旅で出会った料理を台所に持ち帰れば、温かい一皿が生まれます。
ひとくちにエスニック、創作料理とはくくれない、そんな「諸国空想料理」の世界へ! 一つひとつのエピソードにレシピもついて、もう食べには行けないけれど、あれこれ想像をめぐらせ作ってみようと思わせる、お腹いっぱいの一冊です。