『旅をする木』星野道夫
26歳でアラスカに渡った写真家の星野道夫さんによるエッセイ。厳しく美しい大自然と、その地で出会った先住民族の人々との生活。アラスカでのありのままの日常が綴られている33篇。その一つ一つが、読み手を自然と落ち着かせ、アラスカの広大なスケールの時の流れをじんわりと感じられるような語り口です。登場する動物や地名の固有名詞がわからなくても、紡ぎ出される言葉から、大自然の風や匂い、雄大な景色の広がりを感じ、まるでアラスカの地に降り立ったような気分になります。自然を自分たちに都合よく改変し、小さく押し込めてしまった私たちの社会では、知ることのできないことがここにはある。文明が、いかに自然と人を隔てようと私たちは宇宙の小さな一部であることにかわりはない。 現代社会に生きてると忘れてしまう大事なことをずっしりと、ゆっくりと、じんわりと教えてくれ、そっと手元に置いて定期的に読み返したい一冊です。