#004_2025.04
ある日、ふと見つけたナイルレストランのTシャツ。
なんだこのセンス、一見ふざけているように見えて立体的なフル刺繍というこだわり。
広すぎないネックラインとワイドなシルエットが絶妙なバランス。
ツボすぎる…。
迷わずポチって、届いたその日に袖を通した。
そして気が付いたら、ワタシはスニーカーを履き、銀座に向かっていた。
そう、あの老舗「ナイルレストラン」へ。
創業1949年。
日本最古のインド料理店として名高いナイルレストラン。
その扉を開けると、スパイスの香りと共にインド人スタッフの方が迎えてくれる。
着席してまもなく、その一人が私の
Tシャツをじーっと見て一言。

「ドコカラ?」

(訳/そのTシャツはどこで買ったの?)
えっ、働いてるのに知らないの!?というツッコミをグッと飲み込みつつ、
「ネットで買いました。」とだけ返す。
たぶんこの瞬間、店の中で一番びっくりしたのはTシャツだったに違いない。
もちろん頼むのは名物の「ムルギーランチ」。
というか、メニューは一応備え付けられているものの、誰も開いているところを見たことがない。そして、着席とほぼ同時に運ばれてくるお水が目の前に置かれるかどうかのタイミングに、アナタにもこう聴こえるだろう。
「ムルギーランチね」(小声)

よく覚えていてほしい。
「うなずく暇もない一瞬の隙に全力で否定しない限り、オーダー完了とみなされる」ということを。

柔らかく煮込まれた骨付き鶏肉、ターメリックライス、カレーソース、スパイシーなキャベツ炒めを一皿に盛り合わせた、唯一無二のプレート料理。
どんなに店内がごった返そうが、骨付きチキンをスタッフさんが手際よくほぐしてくれるパフォーマンス付き。
Tシャツのど真ん中に描かれたあのプレートが、今まさに目の前に実体化していく。
このライブが終える頃、蚊の鳴くようなボリュームで、あの一言が聞けることを私は知っている。
来るぞ、来るぞ、来るぞ…
私は息をひそめてその時を待った。
(小声)「…マジェテネ!」

キターーーーーー!

まさに、このTシャツの店名よりもデカデカと書かれているそのセリフを聴きたくて、ワタシは足しげくナイルレストランに通っているのかもしれない。そう確信した。 (ここだけの話、ワタシは混ぜずに食べるのが好きだ。)
そして、お会計を済ませようと1階に降りるとオーナー夫人のナイルミツコ氏に遭遇。
「え!何その服!」(やはり知らない模様)
横のテーブルで召し上がられていた常連さんらしき男性に「ちょっと、コレ!どこで買える?調べてよ。」と指示。
言われるがままに調べてくれた男性のスマホには、紛れもなく私がポチッた画面が表示されていた。

「買っといて!それ、着たいわ。」とミツコ。
ムルギ―ランチ6食分以上の服をお客さんにねだるなんて、なんとも羨ましい関係性である。
さて、ナイルレストランの次は、
どこの老舗を攻めよう?

挑戦者求ム!!

〒104-0061
東京都中央区銀座4丁目10-7
TEL/03-3541-8246
定休日/火曜日・第一第三水曜日
営業時間/平日:11:30~21:30
     日・祭日:11:30~20:30

ナイルレストラン店舗HP